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レイトン教授二次創作ネタの「悪の教授」と
ケロロ軍曹に登場するクルル曹長のクロスオーバー話です。
苦手な方はご注意ください。

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(今回の悪の教授とクルル曹長の前提設定→とある事情で出会い友人の関係になった、ロンドンの裏の世界を支配するエルシャール・レイトンと宇宙からの侵略者の一人のクルル曹長。レイトンはクルルから、クルルズラボに直接いける超空間ゲート機能等がついたバッジをもらっている。)



悪の教授とクルルの話

悪寒が走った。
何故だ、とか、そのようなことを考える前に原因の主は口を開く。

「ご機嫌はいかがかな?クルルくん」

低く、心地よい、なのに底なしの冷たさを帯びた声が響いた。
度々異国の地にて聞く数少ない地球人の「友人」の声。
クルルはその声の主である、突然の来訪者に対して嫌味のように笑った。

「そういうあんたはどーよ、エルシャール・レイトン殿?」
「おや、クルル曹長殿のご機嫌は斜めだったのかな?」
「まさか。あんたがきてくれたおかげで最高にハッピーな気分だぜえ」

クルルのひねくれた言葉にレイトンも密かに笑う。
実のところ、クルルの機嫌はとてつもなく悪かった。
何がどうあって機嫌が悪いのかは、本人もわかっていない。
ただ、原因はわからないが、朝からすこぶる機嫌が悪いだけだ。
そんな彼のことを感じ取ったレイトンはクルルに近付いた。

「悩みがあるなら、私でよければ相談に乗ってあげるよ?」
「遠慮するぜえ」
「何故?」
「悩みなんてねえし、仮にあってもあんたに相談したらあとから何をされるかわかったもんじゃねえからなあ…」

そう笑いながらクルルは先程まで進めていた仕事を再開する。
ラボの巨大なディスプレイを見ているクルルの横に、レイトンは静かに立った。
赤い髪の少女が怒り狂っていたり、異様なまでに艶々と輝く肌の緑の宇宙人が暴れまわっていたりと、何かと騒がしい映像(おそらく、監視カメラの映像だろう)が表示されているディスプレイをみてレイトンは思わず微笑む。
まるでコメディでも見ているようだな。レイトンはそう感じながら口を開いた。

「へえ、これが君の仕事道具なんだ」
「何のようできたんだよ、教授さん」

レイトンの言葉を切るようにクルルは唸るように言い放つ。
静かに目を細めたレイトンは右目につけていたモノクルを外した。

「ちょっとした、気晴らしにね」
「………気晴らしだあ?」

少し間をおいたレイトンの言葉にクルルはさらに眉を寄せ、レイトンを睨む。
そこでクルルは目を見開き、固まった。
ディスプレイに目を向けていたレイトンはクルルの視線に気付き、彼を見る。

「…どうかしたかな?」

どうかしたか、はこちらの台詞だ。クルルは心の底で呟いた。
にっこりと笑いかけるレイトンは、あまりにも痛々しい笑顔をしている。
笑顔を向けられる度にクルルもそれはなんとなく感じることはあったが、はっきりと感じたのは今回が初めてだ。

「…ククッ、何があったか、話くらいは聞いてやっても」
「遠慮するよ、仮に何かがあったとしても、そんなことをしたらあとから何をされるかわかったものじゃあないからね」

再びディスプレイを見たレイトンにクルルは盛大に舌打ちをする。
さらに機嫌が悪くなったクルルもディスプレイを睨むように見た。

(なぁんで俺様がこいつの発言でいちいちイライラしてんだよ…)

溜め息を思い切り吐いて、悪態をついてやりたいクルルは何故かそれができないまま作業を進める手を動かす。
電子音と、タイプ音と、ディスプレイに映し出される動画の音声だけが響く空間。
ディスプレイに映し出されている画面が、ぱっと、とある場所を映したとたんに、レイトンは目を閉じる。

「そうか、日本も、今日は雨が降っているんだね」

それは、酷く悲しそうな声で発せられた。
どこか、重い言葉にクルルは動揺する。
それを隠すようにクルルが小さく笑う横で、レイトンは期待外れだとでもいうかのように溜め息をついた。

「今日くらいは、雨は遠慮したいのだけれどね」
「…。…ああ、」

そういえば、今日は特別な日だったな。

あれはいつの日だったか、たしか、1か月程前の大雨の日だ。
シルクハットの怪人が病に倒れた日で、そんな彼を診るためにロンドンの彼の屋敷に足を運んだ日。
こんなやつでも病で倒れることがあるんだなあ、とひどく驚いたことで記憶には鮮明に残っていた。
その時に、彼の側に常にいる仮面の男が放った言葉を思い出す。

『こうなっているのも、じきに、エルシャールにとって特別な日がくるから、だろうな。』

あの日は家屋を焼く炎が上がる一方で雨が降っていたらしいだとか、あの日のせいで年に一度くるその特別な日に雨が降ることをひどく嫌がっているだとか、そんな話を聞いた。
つまり今、その特別な日を迎えているレイトンは、ロンドンでも降っているらしい雨から逃げてきたのだろう。

レイトンの言葉や態度でそう考えたクルルは、一人で笑った。
突然笑い出すクルルに目を丸くするレイトンを尻目に、クルルは笑い続ける。

(ああ、そうか、だから、朝から気分が悪かったのか)

レイトンに気付かれないようにディスプレイの端の端に目を向けた。
そこには小さくだが、今のロンドンの天気の情報が表示されている。
朝からふとロンドンの天気が気になり、確認し、雨だった事実に何故か苛立ってから機嫌が悪くなったのか…いや、もしかしたら別の理由かもしれないが、そう考えると腑に落ちた。
一人で笑い続けるクルルに、レイトンはとうとう眉を寄せる。

「…さて、ここにいても仕方がないみたいだし、私は帰ろうかな」
「ちょっと待ちなあ」

クルルから数歩離れたところで呼び止められたレイトンは振り返った。

「そこらへんに座って待ってろ」
「……何故?」
「………ククッ、あんたに紅茶をいれてもらうためだよ」

あんたが好きそうな茶葉ならそのへんのルートで簡単に手に入るんだよ、とクルルは小さなキーボードを打つ。
テキパキと作業を始めるクルルを見て、レイトンは一つ息を吐きながら、壁にもたれ、座った。
床に座る彼は実はロンドンの裏の世界を支配する男であるのだが、クルルにとってはただの友人。
そんな友人に紅茶をいれさせるために道具を用意したクルルは、レイトンの手に小さな箱を置いた。

「俺様を最高な気分にしてくれたからなあ、いれさせてやるよ」
「…ふふ、そうかい。じゃあ、とびっきり美味しい紅茶をいれないとね」

レイトンはクルルから離れ、用意された台で紅茶をいれ始める。
そんなレイトンを席に戻ったクルルは見ていた。

((…たまには、こんな「気晴らし」もいいかもしれないなあ…))

少し呆れたように微笑みながら紅茶をいれるレイトンに、痛々しさはない。
今までに感じたことのない、温かく優しいレイトンの表情に、クルルは楽しそうに笑っていた。





-おまけ-




デスコール「君が突然いなくなって大騒ぎだったんだぞ!?せめて私にくらいは報告しろと…」
レイトン「ああ、そうだね。すまなかったね、ジャン」
デスコール「…やけに機嫌がよさそうだな。」
レイトン「ふふ、いや、ちょっと、「気晴らし」をしてきたからね」
デスコール「…?」




クルル(あの野郎…ぜってえ紅茶に下剤入れやがったなあ…!)
ケロロ「クールルきゅん!この前の侵略会議の時に頼んだ道具って…、ど、どったの?大丈夫でありますか?」
クルル(ククッ、覚えてろ、エルシャール・レイトンさんよぉ…!!)
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